エッセイ

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065.『義経千本櫻』(よしつねせんぼんざくら)2019.04.18 作:竹田出雲、三好松洛、並木千柳 古典歌舞伎

竹田出雲、三好松洛、並木千柳のトリオが産んだ歌舞伎の「三大名作」の一つ、『義経千本櫻』。そもそもを言えば、「源義経」は中世の「悲運のヒーロー」であり、「判官贔屓」(ほうがんびいき)という日本人特有の感情を端的に現わす基になった人物とも言える。歌舞伎のみならず、多くの芸能においても義経はヒーローであり、それゆえに「実は死なずにモンゴルへ渡りジンギスカンになった」という破天荒な説まで登場する。それは、言い換えれば日本人の「義経愛」の変形の一つ、とみることができる。

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064.『釣堀にて』作:久保田万太郎 2019.03.25 現代日本演劇

昭和の演劇界の「ボス」的存在であると同時に、樋口一葉の小説の脚色、小説、俳句、オリジナルの戯曲などで、江戸の匂いや情緒を残す下町の人々の姿を描き、「嘆かひの詩人」と呼ばれた久保田万太郎の名も、もはや歴史的人名と化しつつある。一般的な話であればともかくも、優れた戯曲を残した作家が演劇界で「見知らぬ人」のように扱われるのは何とも寂しいものだ。

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063.『6週間のダンス・レッスン』作:リチャード・アルフィエリ 2019.03.12 現代  演劇

 2018年秋に、草笛光子が相手役を松岡昌宏に、演出も変えて『新6週間のダンス・レッスン』として、200ステージを超えた話題作だ。元気な高齢者の活躍が多くの分野で観られる昨今、舞台に立ち、多くの観客の視線にさらされる「俳優」の仕事は過酷だが、84歳の草笛光子が、作品同様に毅然と我が身の「老い」を受け入れながら、見事なステージを見せたのは圧巻だった。相手役の松岡とのイキもぴったりで、二人芝居ではより重要さを増す「間」も活き、性別や年齢を超えた『人間愛』の物語だ。

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062.『菅原伝授手習鑑』(すがわらでんじゅてならいかがみ)作:竹田出雲、三好松洛、並木千柳 2019.02.25 古典歌舞伎

 『仮名手本忠臣蔵』(かなでほんちゅうしんぐら)、『義経千本櫻』(よしつねせんぼんざくら)と共に歌舞伎の「三大名作」と呼ばれ、作者も同じ三人のトリオだ。この作品は、タイトルからもわかるように、学問の神様として知られる菅原道真が主人公で、政敵・藤原時平(ふじわらのときひら)の策略で皇位を狙っているとの濡れ衣を着せられ、九州・大宰府へ配流となる。そのストーリーを根幹に据え、当時、大坂で実際に生まれた「三つ子」のエピソードを交えるなどしたものだ。全編を通して上演されることは滅多になく、昭和56年、国立劇場開場15周年記念の折に上演されて以来、通し上演を観た記憶はない。

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061.『ドライビング・ミス・デイジー』作:アルフレッド・ウーリー 2019.02.18 アメリカ現代演劇

 アメリカの劇作家、アルフレッド・ウーリーの作で、1987年にはアメリカで最も権威ある文学賞のピューリッツァー賞を受賞、1989年にはジェシカ・ダンディとモーガン・フリーマンの出演で製作された映画化され、アカデミー賞を受賞した作品だ。

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060.『ら抜きの殺意』作:永井 愛 2019.02.04 現代演劇

「今時の若い者は…」という言葉は、古代ギリシャから使われていたとは有名なエピソードだ。同時に、「言葉の乱れ」も同様の問題で、現在でもファミリーレストランでのマニュアルに添った言葉遣いなどが指摘されることが多い。

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059. 『不知火検校』(しらぬいけんぎょう)作:宇野 信夫 2019.01.28 新歌舞伎  

058.『たぬき』作:榎本滋民(えのもと・しげたみ) 2019.01.21 商業演劇

 明治から昭和の初期にかけて、「八丁荒らし」の異名を取った女芸人・立花家橘之助(たちばなや・きつのすけ、1866~1935)。子供の頃からの寄席芸人で、8歳で真打という天才の片鱗を見せた。まだ、東京に寄席が100軒以上あった時代の事だが、橘之助が出ると、周囲八丁の寄席から客がいなくなる、と言われたのだ。一丁とは今の単位で100メートルちょっと、周囲800メートル四方の観客を奪うほどの人気があった、ということだ。寄席で「トリ」と呼ばれる最後の高座は落語、と決まっているが、例外として女芸人でトリを取ったことからも実力の程がわかる。 続きを読む

057.『ウーマン・イン・ブラック』作:スーザン・ヒル 2018.06.04

 「ゴシック・ホラー」と呼ばれる文学などの体系があり、好む読者も多い。神秘的・幻想的な題材を含む小説が1700年代後半からイギリスで流行し、「ゴシック小説」として広がりを見せ、その一部の恐怖・怪談小説などが「ゴシック・ホラー」として広がったものだ、と考えるのが一般的だろう。今、ホラー小説と呼ばれている作品群の源流である。 続きを読む

056.『摂州合邦辻』(せっしゅうがっぽうがつじ)2018.05.28 古典歌舞伎

 安永2(1773)年に大坂の人形浄瑠璃で初演され、歌舞伎に移した作品。後妻に入った家で後継ぎを巡る争いが起きており、義理の仲ではあるが息子の俊徳丸を助けるために、偽りの不義の恋を仕掛け、顔の様相が変わる毒酒を呑ませた玉手御前。実家へ帰った玉手は、真実の狙いを隠し、俊徳丸への恋心を得々と述べる。人の道にも女の道にもはずれたと、今は小さな庵室にいる父の合邦は怒り狂い、思わず玉手を刺す。苦しい息の中、玉手が語った真実とは…。 続きを読む

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