演劇批評

『妹背山婦女庭訓』(いもせやまおんなていきん)文楽 2019.05.15 国立劇場小劇場

東京では相変わらず完売の好況を続けている文楽。しかし、歌舞伎のように毎月公演があるわけではなく、公演期間も二週間余りと短いのは残念な限りだ。

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エッセイ

065.『義経千本櫻』(よしつねせんぼんざくら)2019.04.18 作:竹田出雲、三好松洛、並木千柳 古典歌舞伎

竹田出雲、三好松洛、並木千柳のトリオが産んだ歌舞伎の「三大名作」の一つ、『義経千本櫻』。そもそもを言えば、「源義経」は中世の「悲運のヒーロー」であり、「判官贔屓」(ほうがんびいき)という日本人特有の感情を端的に現わす基になった人物とも言える。歌舞伎のみならず、多くの芸能においても義経はヒーローであり、それゆえに「実は死なずにモンゴルへ渡りジンギスカンになった」という破天荒な説まで登場する。それは、言い換えれば日本人の「義経愛」の変形の一つ、とみることができる。

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エッセイ

064.『釣堀にて』作:久保田万太郎 2019.03.25 現代日本演劇

昭和の演劇界の「ボス」的存在であると同時に、樋口一葉の小説の脚色、小説、俳句、オリジナルの戯曲などで、江戸の匂いや情緒を残す下町の人々の姿を描き、「嘆かひの詩人」と呼ばれた久保田万太郎の名も、もはや歴史的人名と化しつつある。一般的な話であればともかくも、優れた戯曲を残した作家が演劇界で「見知らぬ人」のように扱われるのは何とも寂しいものだ。

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