エッセイ

064.『釣堀にて』作:久保田万太郎 2019.03.25 現代日本演劇

昭和の演劇界の「ボス」的存在であると同時に、樋口一葉の小説の脚色、小説、俳句、オリジナルの戯曲などで、江戸の匂いや情緒を残す下町の人々の姿を描き、「嘆かひの詩人」と呼ばれた久保田万太郎の名も、もはや歴史的人名と化しつつある。一般的な話であればともかくも、優れた戯曲を残した作家が演劇界で「見知らぬ人」のように扱われるのは何とも寂しいものだ。

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エッセイ

063.『6週間のダンス・レッスン』作:リチャード・アルフィエリ 2019.03.12 現代  演劇

 2018年秋に、草笛光子が相手役を松岡昌宏に、演出も変えて『新6週間のダンス・レッスン』として、200ステージを超えた話題作だ。元気な高齢者の活躍が多くの分野で観られる昨今、舞台に立ち、多くの観客の視線にさらされる「俳優」の仕事は過酷だが、84歳の草笛光子が、作品同様に毅然と我が身の「老い」を受け入れながら、見事なステージを見せたのは圧巻だった。相手役の松岡とのイキもぴったりで、二人芝居ではより重要さを増す「間」も活き、性別や年齢を超えた『人間愛』の物語だ。

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エッセイ

062.『菅原伝授手習鑑』(すがわらでんじゅてならいかがみ)作:竹田出雲、三好松洛、並木千柳 2019.02.25 古典歌舞伎

 『仮名手本忠臣蔵』(かなでほんちゅうしんぐら)、『義経千本櫻』(よしつねせんぼんざくら)と共に歌舞伎の「三大名作」と呼ばれ、作者も同じ三人のトリオだ。この作品は、タイトルからもわかるように、学問の神様として知られる菅原道真が主人公で、政敵・藤原時平(ふじわらのときひら)の策略で皇位を狙っているとの濡れ衣を着せられ、九州・大宰府へ配流となる。そのストーリーを根幹に据え、当時、大坂で実際に生まれた「三つ子」のエピソードを交えるなどしたものだ。全編を通して上演されることは滅多になく、昭和56年、国立劇場開場15周年記念の折に上演されて以来、通し上演を観た記憶はない。

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