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「弥次喜多流離譚(リターンズ)」 2022.08 歌舞伎座 の劇評をアップしました!

演劇批評

「弥次喜多流離譚(リターンズ)」 2022.08 歌舞伎座

 ここ数年間で、8月の歌舞伎座の「風物詩」となった松本幸四郎、市川猿之助のコンビによる「弥次喜多」シリーズ。元はご承知、江戸時代の十返舎一九の『東海道中膝栗毛』だが、実はこの弥次喜多のコンビ、この作のヒットに味を占め、東海道の後は「金毘羅詣り」だの「木曾巡り」だのとシリーズ化された、江戸期の大ヒット作品だ。原作がそういう性質のものであれば、こうして主人公だけは変えずに趣向をどんどん変えながら続演していく方法は江戸時代そのままとも言える。

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演劇批評

「ダディ」 2022.07 東京グローブ座

 最近、「LGBTQ」など性的マイノリティに対する理解が広がりを見せている。この「ダディ」も、男性同士の物語だが、それを受け入れる社会のありようという点でもう一歩踏み込んだ、一口で言えば「重さ」を孕んだ作品である。ニューヨークやロンドンで話題になっているのも、単にマイノリティと呼ばれる人々が大手を振って歩ける社会、という事のみではなく、そういう時代がいつか来たとしても、表面とは別に抱えている「心の闇」や「苦しみ」に焦点が当てられているからこそだろう。特に、キリスト教がイギリスやアメリカほどに根付いていない日本では、「神」に対する想いの強さがどこまで観客に伝えられるか、などの問題もあり、難しい作品だとも言える。しかし、小川絵梨子の演出が人物の心の襞を丁寧に描いているので、難解なテーマながらもすっと胸に落ちて来る。

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