コラム

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「挑戦し続ける舞踊家たち-『五耀會(ごようかい)』のこと」

 「新型コロナウイルス」の影響で舞台芸術のほとんどが大きな打撃を受け、そろそろ再開してはいるものの、まだ回復しているとは言えない。同時に、時代の変化や多様化する芸能の中で「歌舞伎」「人形浄瑠璃」「日本舞踊」「邦楽」など、日本古来の「伝統芸能」への興味や関心が薄れていることももう一つの側面として否定できない。

 そんな中で、10年ほど前から、主な日本舞踊の流派の舞踊家・五人が流派を超えて「これからの日本舞踊」のために立ち上がり、『五耀會』という会を結成した。

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演劇夜話『第二十夜』(最終回)2020.10.22

『演劇夜話』終了のお知らせ

 2020年6月1日、「新型コロナウイルス」による「緊急事態宣言」が発令された中、演劇界は先の見通しが不透明なまま、再開は可能なのか、それはいつのかという不安の真っ只中にいました。

 批評家である私の仕事は、批評すべき「舞台」の幕が開かないことには成立しません。これは他の分野の仕事でも同じでしょうが、多くの方々が同様の不安と恐怖を抱いていた時期です。

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『演劇夜話』第十九夜(2020.10.05)

【第十九夜】「歌舞伎の愉しみ」(2020.10.05)

佐藤 先生が歌舞伎に初めて触れたのは何歳ぐらいだったんですか?

中村 遥かな記憶の彼方だけれど、半世紀近く前ではないかな。なぜ?

佐藤 今になって、という話なんですけど、最近、歌舞伎の面白さにハマってるんですよね。

中村 ほう。君はどんなところを面白く感じるんだろう?

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『演劇夜話』第十八夜(2020.09.28)

【第十八夜】「劇場の幕が開くまで」(2020.09.28)

中村 いつも僕が喋ってばかりなので、たまには聞き手に回りたいと思います。何となく知っているようで知らないのが、どんなプロセスやスケジュールを経て、一本の舞台の幕が開くのか、ということ。作品や公演の規模により千差万別でしょうが、演じる側の現場に立つ俳優の佐藤君から、その辺りを教えてもらえませんか。

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『演劇夜話』第十七夜(2020.09.21)

【第十七夜】「岸田國士という劇作家」(2020.09.21)

佐藤 この間の「自粛期間」中に、家でいろいろな劇作家の戯曲を読んだんですけれど、最近、「岸田國士」(きしだ・くにお、1890~1954)に興味を持っているんです。

中村 なるほど。どんな作家のどんな作品でも、興味を持つのは悪いことではないよね。でも、どうして岸田國士が?

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『演劇夜話』第十六夜(2020.09.14)

【第十六夜】「演劇における「間」の問題」(2020.09.14)

中村 良く芝居では「間が大事」だと言われるよね。今日は、いろいろな意味での「間」について少し話しましょう。

佐藤 はい。

中村 台本には、台詞以外に「…」や「……」と言った「間」があるよね。これは、俳優にはどのように感じられるのだろうか。

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『演劇夜話』第十四夜 2020.08.31

「『明治の演劇』って何だ?」

佐藤 先生、芝居の勉強をしていると、日本の作品はどうしても江戸時代の歌舞伎と明治以降の芝居とで大きな差があって、何だかモヤモヤした壁、みたいな物に突き当たるんです。今日はその辺りのことを教えてください。

中村 今日はやけに素直に来たね。「攻守交替」かぁ…。一番大きな要素は、一般的には「明治維新」が起きて、海外からの近代的な思想がドッと流れ込んで、生活から習慣から大きく変わったよね。演劇もその波を受けた、ということじゃないのかな。

佐藤 具体的にはどういうことですか?

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『演劇夜話』第十三夜 2020.08.24

第十三夜【『戦争と演劇』について】(2020.08.24)

中村 8月の後半になってしまいましたが、8月は、日本には忘れることのできない「戦争」に関する出来事が多い日です。折しも今年は「戦後75年」。「コロナ禍」がなければ、戦争をテーマにした舞台も数多く上演されていたでしょう。しかし、今はこのような状況なので。

 我々は「戦後世代」で、戦争を知らないのは当然ですが、見聞きした範囲や舞台などを通して「戦争」について想いをいたさなくてはならないのではないか、と。佐藤君は、何年生まれ?

佐藤 1995年です。

中村 終戦が1945年だから、戦後50年目の生まれなんだね。

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『演劇夜話』第十二夜 2020.08.17

第十二夜【「忘れ得ぬ人々」を語る】(2020.08.17)

中村 今日は、それぞれが「批評家」、「俳優」として仕事をしている中で、「忘れ得ぬ人々」の事を話しましょう。立場、職分、年数も違うから、それぞれ意味合いは違うかもしれないけれど。君の「忘れ得ぬ人」は、やはり同じ職業の「俳優」になるのかな。

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『演劇夜話』第十一夜 2020.08.10

第十一夜【「コロナ禍」の中での劇場再開を観る】(2020.08.10)

中村 まだ「新型コロナウイルス」終息の気配は見えず、「第二波の到来」とも言われていますが、今月、8月から歌舞伎座は公演を実に半年ぶりに再開しました。

 ただ、今までのような「昼夜二部制」の形式ではなく、「三密」を避けるために客席も一つおきにし、定員の約半数での観劇で、公演形態も「四部制」と今までにはないものです。例年、8月公演は「三部制」が定着し、人気を呼んでいましたが、この「四部制」は全く意味が違うものです。「一部」での上演演目は1時間程度の作品を1本、舞台での登場人物もなるべく少ない舞踊や狂言舞踊、芝居では舞台転換のない一幕物を上演しています。また、俳優、スタッフも一部ごとに交替し、それぞれが「接触」を可能な限り避けるなど、今の状況下でできる限り感染防止に配慮した形式を取っています。

 そのような状況の中で、佐藤君は歌舞伎を観に行って、久しぶりの歌舞伎を楽しみつつ「現場検証」をしてきてくれたんだね。

 様子はどうでした?

佐藤 この前、歌舞伎を観たのが2月公演で、「もう半年経ったのか」という想いと、「半年ぶりの生の舞台」という想いがありました。結論を先に言っちゃいますけど、先生が言ったようないろいろな制約はあったものの、やっぱり「生の舞台」はいいですね! 

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