演劇批評

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4月歌舞伎座 第一部『小鍛冶』『勧進帳』2021.04.07 歌舞伎座

 「コロナ禍」での歌舞伎の上演形態も定着し、公演再開当初は「四部構成」での公演で一部での上演演目は一本、一時間内外だったものが、三部で二本、上演時間も二時間強にまで延びた。今月もその例で第三部までの公演である。一部は市川猿之助の舞踊『小鍛冶』と、松本白鸚、松本幸四郎の『勧進帳』の二本だ。『勧進帳』は日によりA日程、B日程と別れており、A日程は白鸚の弁慶に幸四郎の富樫、B日程は幸四郎の弁慶に、尾上松也が富樫を演じている。義経は共通して中村雀右衛門。

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「ほんとうのハウンド警部」 2021.03.17 シアターコクーン

 80歳を過ぎてなお旺盛な創作意欲は衰えを見せずに、次々に話題作を発表している現代の劇作家の中でも大きな光芒を放つトム・ストッパード(1937~)。『コースト・オブ・ユートピア』、『アルカディア』、『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』など、日本でも話題になった舞台は多い。

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「Endless SHOCK Eternal」 2021.03.04 帝国劇場

 コロナ禍の中、東京都では「緊急事態宣言」が延長され、「飲食を伴う店の営業は20時まで」の状況が続いている。飲食の提供はしなくとも、不特定多数の人が集まる劇場も20時までには公演を終えるとの申し合わせが行われ、各劇場が夜の部の公演を昼にシフトし、夜の公演を行う場合は、開演時間を早めて20時前には終演となるようにした。中には、上演時間の関係で夜公演を中止しているところもある。

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『ドレッサー』 2021.02.28 東京芸術劇場

「役者は他人の記憶の中にしか生きられない」。加藤健一事務所公演『ドレッサー』の中で、加藤健一が扮する老座長の台詞だ。確かに舞台芸術は、幕が降りた瞬間にすべては夢幻の中に消え、観客の心の中に「想い出」として残るのみだ。何度も同じ作品を上演しても、二度として同じものはない。ここに、舞台の魅力がある。昨年来、世界中が苦しんでいる「新型コロナウイルス」の中で、演劇好きの多くの人々が感じたのも、この「ライブ感」の魅力だろう。

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「一月歌舞伎座 第三部」2021.01.07

 令和三年の壽初春大歌舞伎は、「コロナ禍」を受けて三部構成での幕開けとなった。しかし、折しもこの日に昨年春に次いで二度目の「緊急事態宣言」が発出され、今後の演劇公演の先行きが不透明な中での上演となった。

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「炎の人」2020.02.20 スペース・ゼロ

三好十郎がゴッホの半生を描いた名作『炎の人』を始めて観たのは、手元の控えによると「1989年」とあり、30年以上前のことだ。この折は、ゴッホを当たり役にしていた瀧澤修主演の「劇団民藝」による舞台で、最初は海外の作家による芝居かと勘違いした。それほどに骨太に物語が編まれ、台詞が力強さを持っていた。加えて、海外の物語だったから、余計にその感覚を強く持ったのだろう。以来、他の俳優が演じたゴッホも観てきたが、作者と由縁が深く、多くの三好作品を上演している「文化座」では、昭和42年以来53年ぶりの上演となる。

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「二月歌舞伎座 昼の部」 2020.02.18 歌舞伎座

 今月の歌舞伎座は、来月二十七回忌を迎える十三世片岡仁左衛門の三人の子息、五代目片岡我當、二代目片岡秀太郎、当代の片岡仁左衛門がそれぞれに自分の演目を出し、興行全体を銘打っているわけではないが、故人に由縁の深い演目で偲んでいる。

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「ヘンリー八世」 2020.02.16 彩の国さいたま芸術劇場

 1998年に、故・蜷川幸雄の演出でシェイクスピアの戯曲全37作品を上演しようと始まったこの企画、2016年に芸術監督でもあった蜷川の死去の後、演出が吉田鋼太郎に変わり、今回が35作目となる『ヘンリー八世』だ。1900年代までは比較的上演されていたようだが、現在のシェイクスピア劇の中では人気の高い作品とは言えない。だからこそ、全作品の上演計画の中でも最後の方まで残されていたのだろう。

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「からゆきさん」 2020.01.17 本多劇場

昭和の後半に、「ジャパゆきさん」という言葉があった。当時はまだ貧しく、発展途上にあった東南アジアを主とする国々の女性が、日本へ「出稼ぎ」に来て、故郷へお金を送る。しかし、男性ではなく「女性」であるところに、哀しみと日本の「恥」の歴史があるとも言えるだろう。日本と韓国との間で先の大戦期間の「従軍慰安婦」の問題がやり取りされていることはここでは触れないことにする。それよりもはるか以前、日本から海外諸国へ女性が出稼ぎに行く「からゆきさん」たちがいた。「から」は、恐らく「唐」だろうが、中国だけを指すのではなく、東南アジア、ロシアなど、日本から比較的近い海外諸国を意味したようだ。

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『菊一座令和仇討』2020.01.06国立劇場

国立劇場の正月公演を、二世尾上松緑、初世尾上辰之助など、懐かしい顔ぶれの音羽屋一門が担うようになってからずいぶんになる。その間、復活狂言、通し狂言などを上演しており、今年は元号が「令和」と改まって最初に迎えるお正月であることから、元号をタイトルに読み込んで、『四谷怪談』などで有名な鶴屋南北の原作『御国入曽我中村(おくにいりそがなかむら)』を、国立劇場文芸研究会がアレンジしたものだ。

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