来年閉館が予定されている青山劇場で、1986年以来29年間にわたって続いてきた恒例の「PLAYZONE」の最終公演である。少年隊の三人が真夏のファンへのプレゼントとして続け、2008年に『Change』と銘打って、次の世代にバトンを渡した。あの年は例年にもました凄まじいほどの熱気で、千秋楽は特別カーテンコールが終わらずに、終演後1時間10分にわたって少年隊が熱いファンの声援に応えていたと、手元の観劇メモに残っている。

青山劇場は客席との距離感や俯瞰した時の視界など、見やすい劇場なだけに、閉館は実に残念だ。しかし、劇場の入り口、プログラム、何よりも公演の名前時代に「ありがとう!青山劇場」と書いてあることに、同じ演劇人として嬉しさを感じる。私にとって、この劇場はジャニーズ事務所の公演だけを観て来たわけではなく、多くの舞台の想い出が詰まっている劇場であり、それを最も多く使ったジャニーズ事務所が、劇場に感謝の言葉を述べている。ここに、ジャニー喜多川がメンバー全員に叩き込んでいるショーマン・シップの精神が見て取れる。「ありがとう!青山劇場」というメッセージは、そこへ足を運び続けてくれたファンに対してのメッセージにも他ならない。

「PLAYZONE」としての総公演数は1208回、観客動員は170万人を超えると言う。これだけの長さになると一つの「伝統」であり、親子二代でのファンもいることだろう。締め括りとなる今年は、今井翼、中山優馬、屋良朝幸の三人を中心に総勢20人でステージを構成し、ジャニーズの先輩たちのヒット・ナンバーを歌い、踊る。それぞれの個性がうまく絡み合い、堂々とステージを取り仕切れるようになった成長の跡が見られる。ここでの公演をバネに、もうワン・ステップ階段を上がることが、出演者それぞれの青山劇場への恩返しだろう。

ステージの幕が降り、観客が通路を出口へ向かう中で、後ろの方から「これで二週間は頑張れる!」という若い女性の声が聞こえた。観客全員を代表する声とは言わないまでも、多くのファンが同様のことを感じていたのだろう。エンタテインメントは、時として人生の重要なテーマに想いをいたすような芝居もある一方で、理屈抜きで楽しむことができ、ステージのメンバーから「元気をもらう」ことも重要な役割だ。中には、ステージを観た後のやるせない疲労感に包まれて家路に着く作品も多い昨今、「演劇を観る」ことが非日常ではなく「日常」になっている私には、いささかの新鮮なショックを伴って聞こえたのは事実だ。すべての面において、作り手が観客に迎合する必要はない。しかし、役者の序列や組み合わせに右往左往し、誰に何を見せるのかが第一の目的なのか分からない芝居が多々あるのも否定のしようのない事実だ。お金を払い、劇場へ足を運ぶ観客の声は正直だ。その中から何を聴き、どこを捉えるのか。この観客の一声は、演劇界が襟を正して聴くべき言葉ではなかろうか。偶然耳にしたものだったが、今後の演劇界の大きな宿題を残し、「PLAYZONE」は幕を降ろすことになる。

しかし、やがてまたどこかで新たに幕を開けることを、多くの観客が期待しているのだろう。多くのファンがその日を待っている。数多くの舞台が本来そうあるべきなのだ。芝居は生きているだけに、その呼吸を捉えるのは難しい。ジャニーズの公演は一過性のブームではなく、「伝統」になった。